漢詩と中国文化
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葛覃:嫁入りの歌(詩経国風:周南)



  葛之覃兮  葛の覃(の)びるや
  施于中谷  中谷に施(うつ)る
  維葉萋萋  維(こ)れ葉 萋萋たり
  黄鳥于飛  黄鳥于(ここ)に飛ぶ
  集于灌木  灌木に集(つど)ひ
  其鳴嘴嘴  其の鳴くこと嘴嘴(かいかい)たり

  葛之覃兮  葛の覃びるや
  旋于中谷  中谷に旋る
  維葉莫莫  維れ葉 莫莫たり
  是刈是煮  是れ刈り 是れ煮(に)て
  為綺為谷  綺(ち)と為し谷(げき)と為し
  服之無厭  之を服して厭(いと)ふことなし

  言告師氏  言(われ)師氏に告げらる
  言告言歸  言(ここ)に告げらる 言に歸(とつ)ぐと
  薄汗我私  薄(しば)らく我が私を汗(あら)ひ
  薄澣我衣  薄らく我が衣を澣(すす)がん
  害澣害否  害(いづ)れか澣(すす)ぎ 害れか否(しかせ)ざらん
  歸寧父母  歸(とつ)ぎて父母を寧(やす)んぜん


葛のツルが伸びて、谷間を覆っている、その葉は青々として、黄鳥が飛んでくるや、灌木に群がっては、皆々として鳴く

葛のツルが伸びて、谷間を覆っている、その葉は生い茂り、刈り取って煮て、糸となしても衣となしても、あるいは食べても飽きることがない

わたしは先生から告げられました、この家に嫁ぐのだと告げられました、だから身を洗い、着ている衣も洗いましょう、どれを洗いどれを洗わぬか良く考えましょう、立派な嫁になって両親を安心させてあげましょう


葛のツルが伸びるさまは、頼りがいがあって、鳥が巣を作ったり、人の食べ物ともなる。この葛のように頼りがいある男に嫁いでいく女の喜びを歌った歌である。






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