漢詩と中国文化
HOMEブログ本館東京を描く水彩画陶淵明英文学仏文学西洋哲学 | 万葉集プロフィールBSS

房兵曹胡馬詩 杜甫



杜甫の五言律詩「房兵曹が胡馬の詩」(壺齋散人注)
  
  胡馬大宛名  胡馬 大宛の名あり
  鋒稜痩骨成  鋒稜 痩骨成る
  竹批雙耳峻  竹批(う)ちて雙耳峻しく
  風入四蹄輕  風入りて四蹄輕し
  所向無空闊  向ふ所空闊を無にし
  真堪托死生  真に死生を托するに堪へたり
  驍騰有如此  驍騰 此くの如き有り
  万里可行  万里 行すべし

西域からやってきたこの馬は大宛の名に恥じない、矛のように鋭い骨格がたくましい、二つの耳は竹を削いだようであり、四本の足は風に乗って軽やかだ

向かうところ空間が存在しないように俊敏だ、まことに生死を託するものがあるとすればこの馬のことだ、勇ましく躍動するそのさまは、世界中を自由に駆け回ることさえできる


杜甫30台初期の作。房兵曹がもっていた胡馬をたたえて歌ったもの。房兵曹が誰であるかは不祥だが、兵曹とあるからには軍人だったのだろう。その男が胡馬つまり西域から来た馬を持っていて、それがすばらしいものだった。そのすばらしさを飾らずに歌ったものだ。






前へHOME杜甫次へ




 


作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである