漢詩と中国文化 |
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贈貓:陸游を読む |
陸游の七言絶句「貓(ねこ)を贈る」(壺齋散人注) 裹鹽迎得小狸奴 鹽を裹んで迎へ得たり 小狸奴 盡護山房萬卷書 盡く護る 山房萬卷の書 慚愧家貧策勳薄 慚く愧ず 家貧しくして勳に策ゆること薄く 寒無氈坐食無魚 寒に氈坐無く 食するに魚無きを 塩をお礼にしてやっと猫を迎えることが出来た、これからは書斎の万巻の書を鼠から守ってくれるだろう、だが恥ずかしいことに、家が貧しくして功績に応えることが出来ない、寒くても暖かい毛氈もなく、食べ物に魚を出すこともままならぬ(狸奴:猫の愛称) 淳熙10年(1183、59歳)、故郷に隠居していた時の作。陸游は猫が好きだったらしく、猫を歌った詩が二十首以上もあるという。中国人はインド人同様もともと猫よりも鼠を尊ぶ風が強かったが、宋の時代になると俄然猫を愛でるようになったらしい。猫好きは、よその家に子猫が生まれると、塩をお礼に包んで貰い受けたようだ。 此の猫は働き者だったようで、陸游はその功績をたたえている。その功績に応えられないといって恥じているのは詩人らしい謙遜だろう。 |
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