荒木町の石段(34×25cm ワトソン 2004年7月)

荒木町は狭い区域ながら実に変化に富んだ地形をしている。大まかにいえば、新宿通りの高台から靖国通りへと下っていく斜面に沿って展開しているのだが、これがただの円滑な斜面ではなく、襞のような起伏と穴倉のような窪地に纏われているのである。だから、地域の中を歩いていると上り下りが不連続に交互する。下っていたかと思うと、上り坂にさしかかり、まるで山中を歩いているような感覚に襲われることもある。

摂津守がここに築造した庭園は、野趣に富めること江戸第一といわれたそうだが、この複雑な地形を以てすれば、幽玄な山水を築きえただろう。

この絵からそのような起伏の一面を感じ取ってもらえるだろうか。地域のほぼ真ん中あたりと思しいところに窪地のような低地があり、その一角に石段がある。これは石段の上から低地を眺めおろした構図である。背景の向こう側もたしか上り勾配になっていたはずだ。






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