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  船橋遊郭跡(24×32cm ヴェランアルシュ 2003年1月)
  
船橋という町は、かつて漁村だったところが、東京に近いという地の利によってベッドタウンと化し、人口ばかり闇雲に増えた町である。こんな訳だから、歴史に裏打ちされた情緒なり、町の風格といったものに乏しい。人間の数ばかりがやたらに多いのである。ある意味では、新興都市といったイメージに近いものがある。

それでもかつては漁村として栄え、また街道沿いの宿場としてかなりの賑わいはあったようだ。海岸近くを走る本町通りを中心に、その南側には遊郭街もあったそうだ。ラヂウム温泉も早くから立地した。

冬の一日、かつて新地と呼ばれ歓楽街のあったという辺りを歩んでみた。一帯は狭い路地を挟んでアパートが立ち並ぶばかりで、とてもここに歓楽街があったとは思い及ばない。そんな中で一軒、絵にあるような建物を見かけた。かつて遊廓だったものだという。木造の旅籠風の作りがいかにもそれらしき風情を伝えてはいる。しかし今は利用されている形跡はなく、痛みがひどくて、近く倒壊を予想させるような有様である。