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  山手隧道(26×36cm ウォーターフォード)

関東大震災後の復興事業の目玉として、東京愛宕山のトンネルと同じようなものが横浜でも作られた。山手の高台の下を掘って、山下地区と本牧を結ぶトンネルが作られたのだ。石川町の駅を出て元町の方へ歩いていくと大きな道路が交差しており、その東側の先にトンネルが見える。

ある冬の一日、わたしはこのトンネルをくぐって本牧側に出てみた。この絵はその折に描いたものである。こんな機能一点張りの土木施設でも絵になるものだと妙に感心したことを覚えている。トンネルは奥に見える。手前のアーチはトンネルではなく桜道橋という陸橋である。この二つが重なり合うことによって、絵になる光景を作り出しているのだろう。

このトンネルができる前は、人々は山手の高台を越えて本牧に至るか、あるいは海岸沿いの道をいったのであろう。工事からは夥しい残土を生じたが、それらは震災後の廃墟の瓦礫とともに山下の海岸に埋め立てられ、そこからいまの山下公園が生まれのであった。もしかしたら、山下公園を作るのが主な目的で、このトンネルを掘ったのかもしれない。