東京年中行事

御会式(池上本門寺)


御会式と聞いてピンと来る人は少ないかもしれません
御会式とは日蓮宗特有の行事で、 日蓮の命日の前後に
宗祖の威徳を偲んで行われるものです
日蓮宗徒にとっては節目となる重要な行事ですが
他教のものにとっては あまりなじみのないものなのでしょう

日本に数ある仏教宗派の中でも、日蓮宗は行動的な宗派だといわれています
また 歴史的には京都をはじめ 各地の町衆の中で発展してきた経緯があり
都市的な色合いにとんだ宗派だともいわれています
そんなこともあって 普通仏教とはあまり縁がないと思われるお祭に似た
祝祭的な行事を 信者一同団結して行うに至ったのがこの行事だともいえます

御会式の行事には とても仏教の行事とはいえないような迫力があります
万灯と称される独特の飾り物を全面に押したて
日蓮宗独特の太鼓を叩きながらの行列は
下町の御輿の連合御渡を想起させるほどです

関東各地の日蓮宗の大寺院は それぞれに御会式の万灯行列を催していますが
とりわけ有名なのは 雑司が谷と池上本門寺のものです

池上本門寺は日蓮上人が他界したところで
日蓮上人の命日を偲ぶこの行事にとっては特別な意味合いを持つ寺です
上人の命日である十月十三日の前後
寺には関東各地の日蓮宗寺院の宗徒が集合し
万灯を全面に押し立てて賑やかな供養の行列を催します





御会式の祭は 万灯と呼ばれる飾り物が中心になります
五重塔を象った作り物を提灯代わりにして
その回りを ふわっとした紙の飾り物で包みます
これを前面に押し立てて 太鼓を叩く人たちや 纏をかざす人々が行進します

この夜 池上の駅を下りると 駅前は既に万灯行列の人の波で埋め尽くされていました


本門寺に通ずる参道は 普段はひっそりとして 落ち着いたたたずまいですが
この夜ばかりは 祝祭的な雰囲気に包まれます
沿道には おびただしい数の露店が立ち並び
ひとびとは 大波のようにうねり歩きながら 本道に向かいます


南無妙法蓮華経を染め抜いた旗と寺の名を記した提灯が次々と本堂目指して向かいます
本門寺の末寺は200とも言われていますが
その殆どすべてが門徒ともども万灯火行列に加わるといいます


夜空に幻想的な輝きを見せる万灯


参道の険しい階段を ひとびとが万灯を持ち上げながら あがります
上から見ると 次々と押し寄せる 万灯の列が
夜空に一条の光線を描く様が一望されます








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