オペラ通り:水彩で描くパリ

オペラ通りはその名の通り、オペラ座(ガルニエ)の前からルーヴル宮殿に向けって南東方向に伸びる数百メートルの短い街路である。しかしそこにはパリと云う街の本質がいかんなく込められている。

街路に沿って石造の建築物が整然と立ち並んでいる。高さから風貌まで心憎いほど統一感がある。銀座通りの比ではない。初めてこの風景に接したとき、筆者はそのすさまじい重量感に圧倒されたものだ。

とにかく一つの都市が、確固とした観念に基づいて、一つの有機体として計画的に樹立されている、そんな感慨を抱かしめるのがパリと云う都市であるとすれば、オペラ通りはそれを最も完璧な形で具現した空間であるといえる。

通りの北側にはガルニエを挿んでデパートメントの商業的空間が接し、南に接してはルーヴル宮殿とそれに接する政治的な空間が展開している。

オペラ通りはいろいろな意味で、パリと云う劇場的な空間にあって、圧倒的な劇場性を感じさせるミクロコスモスといえる。





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