ビュシー街 (28×38cm ファブリアーノ 2011年)

セーヌ川左岸、パリ6区はサンジェルマン・ジェルマン・デ・プレを中心にして、下町らしい雰囲気の街が広がっている。その一角をビュシー通りという狭い路地が貫いている。この路地に面したアパルトマンの一室には、かつてあの天才少年詩人ランボーが寄寓していたということだ。

大のランボー好きである筆者は、初めてパリに旅行したときに、ランボーの住んでいたアパルトマンを探して歩いたものだった。住所を頼りにその場所に当たってみると、それらしき建物は見つかったが、そこがランボーゆかりの場所であることを示す案内板の類は一切なかった。

そこはこの絵にあるような光景だった。筆者は、椅子に腰掛けていた何人かの人を捕まえて、ランボーのことを尋ねてみたが、そこがランボーゆかりの場所であることを知っていた人は一人もいなかった。

そんな次第で、筆者はせめてランボーにゆかりのある風景をスケッチに残そうと思って、この絵を描いたわけなのであった。




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