漢詩と中国文化 |
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初貶官過望秦嶺:白居易の七言絶句 |
元和十年(815、45歳)、白居易は江州司馬に左遷された。理由は、越権行為であった。宰相の武元衡が不審な殺され方をしたのに対して、当時太子左賛善大夫という官職にあった白居易は、真相究明を求める上疏をしたのであったが、諌官でもないのにそういう行為に及んだのは越権行為だとして罪に問われたのであった。(もっとも表向きの罪状は別件であったらしい) 左遷の詔が下されると、一刻の猶予もなく出発しなければならない。そこが栄転と違うところである。白居易は、妻子ともども八月初旬に慌しく長安を出発し、襄陽、武昌を経て、十月初めに流謫地の江州(江西省九江)に到着した。 七言絶句「初めて官を貶され望秦嶺を過る」は、その旅の途上で作ったもの。望秦嶺は長安周辺にある山と思われる。 草草辭家憂後事 草草として家を辭し後事を憂ふ 遲遲去國問前途 遲遲として國を去り前途を問ふ 望秦嶺上迴頭立 望秦嶺上 頭を迴らせて立てば 無限秋風吹白鬚 無限の秋風 白鬚を吹く せわしなく家を出て後のことを心配する、足取り重く都を去って前途を訪ねる、望秦嶺上で頭を巡らせて立てば、無限の秋風が我が白髪頭に吹き付ける |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009-2014 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |