漢詩と中国文化 |
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月夜 杜甫 |
杜甫の七言律詩「月夜」(壺齋散人注) 今夜鹿州月 今夜 鹿州の月 閨中只獨看 閨中 只獨り看る 遙憐小兒女 遙かに憐れむ小兒女の 未解憶長安 未だ長安を憶ふを解せざるを 香霧雲鬟濕 香霧 雲鬟濕ひ 清輝玉臂寒 清輝 玉臂寒からん 何時倚虚幌 何れの時にか虚幌に倚りて 雙照涙痕乾 雙び照らされて涙痕乾かん 今夜?州の月を、妻はひとりで見ていることだろう、遥かに哀れに思うのは、小さな子供たちが、父のいる長安のことをまだわからぬことだ 香霧に妻の黒髪は潤い、月の光を受けて肌寒い思いをしているだろう、いったいいつになったら二人して虚幌に寄りかかって、ともに月を見ながら涙の乾く日が訪れるだろうか 長安で幽囚されていた杜甫が、鹿州に置いてきた妻子を思いやって歌ったもの。長安に連れてこられて最初に書いた詩だともいわれる。杜甫の詩の中でも、最も名高いもののひとつだ。それは素朴な家族愛が、素直に歌われていることによるのだろう。 現にひとりでとらわれになっている身も、想像の中では妻と二人でいることができる。この想像がいつか現実となるとき、いま流している涙も乾くことだろう。 |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |