漢詩と中国文化 |
HOME|ブログ本館|東京を描く|水彩画|陶淵明|英文学|仏文学|西洋哲学 | 万葉集|プロフィール|BSS |
憶幼子 杜甫 |
杜甫の五言律詩「幼子を憶ふ」(壺齋散人注) 驥子春猶隔 驥子 春猶ほ隔たる 鶯歌暖正繁 鶯歌 暖かく正に繁し 別離驚節換 別離 節の換るに驚ろく 聰慧與誰論 聰慧 誰とか論ぜん 澗水空山道 澗水 空山の道 柴門老樹村 柴門 老樹の村 憶渠愁只睡 渠を憶って愁ひて只睡り 炙背俯晴軒 背を炙って晴軒に俯す わが子とは春になってなお隔たったままだ、鶯が暖かい日差しの中で鳴いているというのに、別離したまま季節が変わったのに驚くばかり、あの子の成長振りを話し合う相手もいない 澗水が流れる空山の道、老樹が生い茂る村の柴門のあたり、そこにいるであろうあの子を思っては憂いに伏し、背中を日にあぶりながら軒下に横たわるこのごろなのだ 至徳二年春望とほぼ同じころの策だろう。長安にとらわれの身となって、はるか彼方阜州に残してきた家族を思う歌だ。 |
前へ|HOME|杜甫|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |