漢詩と中国文化 |
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曲江二首其二(人生七十古來稀なり) |
杜甫の七言律詩「曲江二首其二」(壺齋散人注) 朝回日日典春衣 朝に回りて日日春衣を典す 毎日江頭盡醉歸 毎日江頭に醉を盡くして歸る 酒債尋常行處有 酒債尋常行く處に有り 人生七十古來稀 人生七十古來稀なり 穿花胡蝶深深見 花を穿つの胡蝶深深として見え 點水蜻蛉款款飛 水に點ずるの蜻蛉款款として飛ぶ 傳語風光共流轉 語を傳ふ 風光共に流轉して 暫時相賞莫相違 暫時相賞すること相違ふこと莫かれと 朝帰りをしては日々春衣を質に入れ、毎日江頭に酔いを尽くして帰る、酒の負債は行くところどころにあるが、人生七十まで生きることは稀なのだ 花にとまった蝶は奥ゆかしく見え、水に影を落としたトンボはなよなよと飛ぶ、伝えてくれ、風光はこんなにも移ろいやすいのだから、しばしその眺めに打ち興じていようではないかと 古稀の典拠になったということで、日本人にはとりわけ馴染みの深い詩だ。人生は短く七十までは生きられないのだから、生きている間に歓楽を尽くすことが肝心だ。そういう意味だろう。杜甫自身も満年齢六十歳まで生きられなかった。 |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |