漢詩と中国文化 |
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卜居:杜甫を読む |
杜甫の七言律詩「居を卜す」(壺齋散人注) 浣花溪水水西頭 浣花溪水 水の西頭 主人為卜林塘幽 主人為に卜す林塘の幽なるを 已知出郭少塵事 已に知る郭を出でて塵事少きを 更有澄江銷客愁 更に澄江の客愁を銷ざす有り 無數蜻?齊上下 無數の蜻? 齊しく上下し 一雙??對沈浮 一雙の?? 對して沈浮す 東行萬裡堪乘興 東行萬裡 興に乘ずるに堪えたり 須向山陰上小舟 須らく山陰に向かって小舟に上るべし 浣花溪の流れの西側のほとり、堤の一角の幽邃たるところに居を定めた、城郭の外側にあるここはわずらわしいことも起こらず、澄んだ流れは客愁をなだめてくれる 無数のトンボが上下になって飛び、一対のおしどりが互いに浮いたり沈んだりする、興に乗れば東に向かってどこまでもいける、そのうち小船に乗って出かけてみよう 乾元二年十二月、杜甫は家族を伴って成都についた。古くからの蜀の都で、杜甫の時代にあっても大都市として繁栄していた。杜甫はこの年三度も居を変え、長い放浪に明け暮れたが、やっと安住できる地を見出して安堵したに相違ない。杜甫の生涯の中で、成都で過ごした数年は、穏やかな日々が続く悠然たる境地であったといえる。 翌上元元年の春、杜甫は旧友で当時成都の東北彭州の刺史をしていた高適の援助を得て、浣花溪のほとりに草堂を結んだ。 浣花溪は成都の郊外を西から南に向かって流れる川である。杜甫は城の西郊の流れに沿った一角に草堂を建てた。卜居と題するこの詩は、その草堂のある地を歌ったもの。町の喧騒から離れて悠然と居を構えることの喜びを盛り込んでいる。 |
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