漢詩と中国文化
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禹廟(此忠州臨江縣禹祠也):杜甫を読む



杜甫の五言律詩「禹廟」(壺齋散人注)

  禹廟空山裏  禹廟空山の裏
  秋風落日斜  秋風落日斜めなり
  荒庭垂橘柚  荒庭橘柚垂れ
  古屋畫龍蛇  古屋龍蛇を畫く
  雲氣生虚壁  雲氣虚壁に生じ
  江聲走白沙  江聲白沙に走る
  早知乘四載  早に知る四載に乘じ
  疏鑿控三巴  疏鑿三巴を控せしを

禹廟は空山のうちにあって、秋風の吹く中落日が傾いている、荒庭には橘柚の実が垂れ、古屋には龍蛇が描かれている

虚しい壁には雲気が生じ、流れの音が白沙に沿って聞こえてくる、かの禹が四種の乗り物に乗って、三巴の地を開墾したことは早くから知っていたが(これほど壮大だとは思いもしなかった)


禹廟とは中国の伝説上の英雄禹を祀った廟堂のこと、中国のさまざまな地に立てられている。杜甫がこの詩で歌った禹廟は、忠州付近の長江沿いにあったとされる。船で長江を下る途中、旅夜書懷とほぼ同じ頃の作と思われる。






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