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草野心平:詩の鑑賞と解説


草野心平にも、世界観らしいものがなかったわけではない。だがそれは体系的なものというより、反体系的なものだった。彼の出発点はアナーキズムだったが、アナーキズムとは畢竟、大袈裟な世界観を拒否するところに成り立つものだ。 草野心平の多くの詩に見られる、感情を直接に爆発させるような方法は、こうした態度に発している。彼は自分がうけとめたものを、自分の感性で咀嚼して、それを爆発させるようにして表出する、あるいは排泄するのである。だから、草野心平の詩は創造ではなく、排泄の行為といってよいような側面がある

排泄といっても、単に老廃物をひりだすということではない。草野心平の排泄は歌声を伴うのだ。その歌声は、蛙の声に乗って流出してくる。草野といえば蛙の詩人であり、蛙の歌に自分の気持を重ね合わせた。草野は生涯におびただしい数の蛙に歌を歌わせた。それらの蛙の歌声は、時には草野の悲しさを歌い、時には草野の宇宙感情というべきものを歌った。

草野心平は、宮沢賢治を世の中に出したことで知られる。草野が賢治に共感を覚えたのは、独特の宇宙感情(世界観ではない)を共有していたからだと思う。この宇宙にあっては、人間は宇宙の一部であり、宇宙と一体化している。そのように感じるからこそ、草野は、「死んだら死んだで生きていくのだ」と、蛙に歌わせることができたのだろう。同じような気分を賢治も、妹としの言葉として表出している。例の「永訣の朝」にあるリフレイン「おらはおらでしとりえぐも」である。

ここではそんな草野心平の代表的な詩をとりあげて、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたいと思う


草野心平:死んだら死んだで生きていくのだ

おれも眠ろう:草野心平の世界

号外:草野心平詩集「第百階級」

行進曲:草野心平の詩集「第百階級」より

亡霊:草野心平の詩集「第百階級」から

誕生祭:草野心平の詩集「定本蛙」

ごびらっふの独白:草野心平の蛙の歌

さやうなら一万年  草野心平

劫初からの時間の中で:草野心平の詩を読む

春:草野心平の詩を読む

Bering-Fantasy:草野心平の詩集「絶景」から

窓:草野心平の詩集「絶景」から

猛烈な天:草野心の詩集「絶景」から

わが抒情詩:草野心平の詩集「日本砂漠」から

草野心平の詩集「富士山」

草野心平の詩集「富士山」から「作品第参」

草野心平の詩集「富士山」から「作品第肆」

夜の天:草野心平の詩集「天」から

草野新平の詩集「マンモスの牙」から「夜の海」

施餓鬼:草野心平の詩集「マンモスの牙」から



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