柳橋(24×32cm ヴェランアルシュ 2003年1月)

柳橋といえば神田川の第一橋梁、神田川が隅田川に注ぎ込むところにかかっている。幕末の頃、あたり一帯が遊廓街として栄えたことは、成島柳北の小品柳橋新誌に詳しい。柳北自身、若年の頃ここに遊び、かつはここから船を出して吉原方面に向ったりした。

今はそんな面影の残る由もなく、周辺は無粋な建物に囲まれたオフィス街に化しているが、それでも橋詰には小さな木造の船宿が張り付き、屋形船が水面にもやっている。現代人もここから船を出して品川沖まではぜ釣りに出かけたり、両国の花火を楽しみながら、夕涼みをしたりする。

橋を描くのが好きな私は、正月休みの一日、神田川にかかる橋を、柳橋から始めて御茶ノ水方面へ、一つひとつ丁寧に見てまわったことがあった。この絵はその折にものしたものである。正月早々のこととて、あたりに人影は少なく、他人を気にせずのんびりとした気分で描いたことを覚えている。正面は隅田川で、その奥に高速道路やら対岸のビル群が見える。そんなところまで正直に加えたので、多少くどい構図になった。






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