千鳥が淵(26×36cm ワトソン 2004年4月)
清水濠の桜も見事だったが、皇居掘割の桜といえばやはり
千鳥が淵だろうと、北の丸公園を抜けて田安門をくぐり、九段の坂上のほうから堀端に咲く花を見下ろすように描いてみた。このあたりではもっとも人の集まるところなので、のんびり腰を据えていられない。手早く素描をすませ、それにさっと淡彩を施して仕上げは家に帰って行った。花のように臨場感がものをいう対象は、その場で仕上げるのがベターなのだが、なにせこの人出ではいたしかたもない。
水面に反映する花の上をゆっくりとすべりゆくように、のどかにボートをこぐ者がいる。絵になる眺めだ。皇居内堀の中でも半蔵門より東北の累が淵から千鳥が淵にかけては、昔から庶民の行楽を許したところで、オリンピック以前には釣り糸を垂れる人の姿もあった。半蔵門近くの新宿通りに面して釣り道具屋があったくらいだ。
隣接する
靖国神社の境内も桜で名高い。そちらは夜桜見物のほうが人気があり、人々が肩を寄せ合って花見の宴会に興ずる姿が見られる。