神楽坂(26×36cm ワトソン 2004年7月)

飯田橋駅の西口を出て、今は埋め立てられた外堀跡をわたり、大通りを越えると、その先にゆるやかな上りの坂道が続いている。神楽坂通りである。東京に数ある通りの中でも、何となく雰囲気があり、ここを好んで描く画家も多いとやら。

徳川時代には外堀に牛込見附があって、見附の外に伸びるこの道沿いには商家のほか武家の屋敷も多かった。太田蜀山人もこの辺に住んでいたそうである。東京でも有数の花街として発展するのは明治以降のことらしい。昭和の空襲でひとたびは焼け野原になったが、戦後も細々ながら遊廓街としての面影を残した。そんなことから、この街には今でもそれとない艶やかさが感じられるのである。

この絵は、坂の取り付きから数歩上ったところの光景を描いたもの。ご覧のようにこの坂道には電柱がなく、広くはない道端にも街路樹が植えられている。道沿いの店にもささやかな意匠を工夫したあとがみられ、街を愛する地元の人たちの心意気が、訪れる者にも伝わって来るようだ。






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