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伊勢物語絵巻その一:鎌倉時代の絵巻物 |
(伊勢物語絵巻、第二二段) 源氏物語に「伊勢物語絵巻」とか「在五中将物語絵巻」という表現があり、また狭衣物語にも「在五中将日記絵巻」といった表現が出て来るから、伊勢物語は早い時期から絵巻物の形で享受されていたものと思われる。だが、平安時代の絵巻物は今日に伝わっていない。今日に伝わっている中で最も古いものは、鎌倉時代(13世紀後半)のもの(久保惣美術館蔵)である。 これは、絵が七段、詞書が三段からなる。もとはすべての詞書とそれに対応する絵があったと推定されているが、今日に伝わる久保惣本は、その一部を継ぎ合わせて一巻にしたものである。絵の大きさは、縦26.8cmである。 巻の冒頭に第一段(初冠)の詞書があり、その直後に上の絵が置かれているので、これは第一段を描いたものだと解釈された時期もあったが、現在では、第二二段に対応するものとするのが通説になっている。 二二段は、一旦別れた男女が、女の方からの呼びかけがきっかけで縒りを戻したという話しだ。女の呼びかけに反応した男が、いてもたってもいられず、夜道を歩いて女のもとに駆けつける。そんな様子が、この絵には描かれている。 画面左側には、物思いに耽る女の姿が描かれ、右手には夜道をあるいてやっと女の家にたどり着いた男の姿が描かれている。この時代の男女の関係が、男が女を求めて女の家に通うという、いわゆる通い婚であったことを、視覚的に物語っている。 (伊勢物語絵巻、第四段) これは第四段に対応する絵だと思われる。この段は、ある男がむかしのことを思い出しながら「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして」と歌うところである。 (伊勢物語絵巻、段不詳) この絵は、どの段に対応しているのか、よくわからない。粗末な家の入口付近と、その前に広がる庭が描かれている。家の様子からして、高貴な者の家ではない。庭には小鳥の群が飛んでいる様子が描かれているが、どんな鳥だろうか。 |
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