京成線乗換通路(F4号 ウォーターフォード 2003年3月)
津田沼以東の京成沿線に住む者にとって東京に出るもっとも簡便な方法は、船橋でJR総武線に乗換え都心に向うことである。少年時代から佐倉に暮らしていたわたくしも、通学、通勤にこの方法をとった。両路線は駅舎を異にしているので、乗換えには200メートルばかり歩かなければならない。絵にある景色はこの乗換えのための通路を描いたもの。わたくしにとっては、船橋の原風景のような眺めである。
ご覧のように狭い道なので、列車から降りた人々が殺到すると、車内の混雑をそのままもち込んだような有様を呈する。道は狭くかつ短いにかかわらず、人通りの多いことを見込んで、飲屋やら遊戯の店が軒を接して連なっている。夕方になると勤めを終えて帰宅途上のサラリーマンが、乗り換えのためにこの道を通るついでに、暖簾を並べる飲屋のどれかに吸い込まれていくのも自然なことといえよう。
京成とJRに挟まれた地域にも最近再開発事業が施されるようになった。表通りに面した建物の多くが除却され、その跡地に高層の複合ビルを建てる工事が進んでいる。この通りも再開発区域の中に含まれているとのことだから、沿道の飲屋群が姿を消すのも時間の問題だろう。