元町通り(F4号 ウォーターフォード 2003年)
元町通りは山手の高台と山下の市街地に挟まれた、南北わずか数百メートルの小さな通りである。だが横浜でもっともファッショナブルな通りとして名が通り、若い女性を中心に訪れる者が多い。
いまの関内地区にあたる横浜村に住んでいた猟師たちが、開港の都合から東よりの山裾に移住させられたのが元町の由来である。やがて横浜で活動していた外国商人らは山手の高台に家を建てて住むようになる。彼らは毎日高台と関内のオフィスとの間を往復する訳だが、その彼らを相手に元町で商売をするものがふえて、自然と商業地が形成されたのである。こんな訳で元町は昔から西洋風のイメージに満ちた通りだった。
この絵は、ある初春の一日山手地区の洋館群をスケッチに来た際、何気なく見かけた元町通りの光景を描いたものである。ご覧のように通りは幅が狭く、所々カーブをつけて変化をもたせてある。自動車が入ってこれないようにしているので、道を歩く人はのんびりと心の向くままに、両側に並んだ店のウィンドウを覗き込むことができる。