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  山手二三四番館(F4号 ウォーターフォード 2003年5月) 

えのき亭と聖公会の間に、鬱蒼とした樹木に覆われた大きな建物がある。山手二三四番館という。どういう訳か私はこの建物には大して興味がわかず、横浜にスケッチに来るたび、何度も前を通ったはずなのに、描いてみる気が起こらなかったばかりか、その印象もいつまでも曖昧なままにとどまっていたのであった。

ところがこの年の初夏、久しぶりに横浜を訪ね、港のみえる丘から元町公園の方向へ歩いてくる途中にこの建物を見かけたとき、突然に絵になるものを感じて、その場で早速スケッチを始めたのである。

恐らく建物を包む木々の緑の初々しさが、光と影の何ともいわれぬ調和をもたらし、独特の雰囲気を醸し出していたのであろう。風景というものは不思議なもので、そのものが持っている固有な形のほかに、それを包み込む空気や見るものの心のありようによって、単調に映ることもあり、また美しく映る事もあるのだ。このような初夏の緑溢れる風景には、鮮やかな黄色味がかったグリーンが効果を発揮する。