成田街道沿いのそば屋(26×36cm 2005年9月)
国道296号線をかつては佐倉街道と称した。徳川時代からの古い道である。佐倉は江戸城防備のために戦略的な役割を負わされていたので、江戸城と佐倉を結ぶこの道も早くから五街道並みの扱いを受けた。幕末の頃、佐倉に蘭学が盛んになると、江戸方面からこの道を通って佐倉に来る人の数も飛躍的に増えたという。
この道は佐倉の市街を通り過ぎると成田街道と名を変えた。佐倉から成田までは凡そ四里、15キロほど、北総台地の上をほぼ一直線に成田さんまで通じていた。サイクリングをするにはちょうどよい距離であるから、わたくしは少年時代、友人と語らってよく成田まで自転車をこいだものである。意外と起伏に富んだ道の両側には一面に落花生畑が広がっていた。
絵は、佐倉街道が成田街道と名を変える接点あたりを描いたもの。道沿い
のそばやは明治以前からある古いものだそうだが、建物自体は近年のものである。それでも裏さびた街道の雰囲気に溶け込んでなかなか風情のある光景を呈している。
[東京を描くHP]