常磐橋2(26×36cm ヴェラン・アルシュ 2006年3月)

日本橋川に常磐橋という名の橋が二つあるのをご存知だろうか。いづれも石造りの二連アーチの橋で、日銀旧館の傍らに仲良く並んで架かっている。上流にあるものは明治10年、旧常磐橋御門の石材を利用して作られた。都内に残る石橋の中でも、もっとも古いものだ。下流のほうは震災の後に作られた。姿といい形といい上流のものとうりふたつである。

この二つの常磐橋のほかに、一つ上流には更に新常磐橋というのが架かっているから話はややこしい。何故かくもこの名称にこだわったか。

徳川時代、常磐橋御門は奥州街道の起点にあたっていた。道は馬喰町を過ぎって浅草橋御門に至り、そこから北上して千住方面に向かっていた。戦略上、産業上重要な道であったから、その起点にあたる常磐橋にも重要な位置づけがもたされ、明治以降にもその考えが引き継がれたと思われる。旧奥州街道の道筋は、昭和になって現在の江戸通りへと付け変わったため、その新たな起点となった橋にも常磐の名をとって、新常磐橋と名づけた。これらの橋には歴史の因縁がこもっていそうである。

絵は、下流にある常磐橋を描いたもの。ご覧のように、日本橋川の上に覆いかぶさる高速道路の構築物が、橋の景観を著しく窮屈なものにしている。だが、視点を変えてみれば、まだまだ見捨てたものではない。






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