イタリア紀行
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イタリア紀行その三:凱旋門、トラヤヌスのフォロ、ヴェネチア広場


(コンスタンティヌスの凱旋門)

コロッセオを入口とは反対側より出るに大いなる広場あり。その一角に凱旋門立ちてあり、すなはちコンスタンティヌスの凱旋門なり。紀元四世紀コンスタンティヌス皇帝在位十周年を記念して建てられたりと言ふ。パリの凱旋門のモデルとなりし門にて、高さ廿一米、幅廿五米、奥行き約七米、三つの通過口を有し壁面には華麗なる装飾を施せり。


(コロッセオ西側の広場)

広場の一角凱旋門の傍らには数台の馬車ありて客の乗り来るを待機してあり。馬は両目の外側に遮蔽幕を施され脇目をふらざるように工夫してあり。馬にとりては迷惑な工夫と言ふべし。又尻の後ろには馬糞を受け止むるべき袋を装備せられてあり。こちらのほうは遠慮なく脱糞するにはすぐれたる工夫と言ふべきか。馬に近づき顔をあはするにどの馬も大人しくこちらの顔を見つめたり。畜生ながら可憐と言ふべし。

広場北側のフォリ・インペリアリ通りを西に向かって歩く。通りの南側は土木工事のための安全柵施されてあり。告知文を読むに地下鉄C線建設工事施工中とあり。ローマは遺跡保護の為原則として地下鉄を新規建設せずと聞きしが、交通量の増加には逆らへぬものの如し。恐らく大深度工法をとると思へど、遺跡を完璧に無傷のままには済まざるべし。


(トラヤヌスのフォロ)

通りの北側にはトラヤヌスのフォロ広がりてあり。フォロとはフォーラムのことなり。トラヤヌスのフォロは紀元一世紀にトラヤヌス帝によるダキア征服を記念して作られたる由。広場とともに市場も併設せらる。上の写真のうち手前が広場奥が市場なり。

フォロを望む通りの一角に楽器を鳴らして客に銭を乞ふ者あり。その数あなどりがたし。かかる大道芸人を東京にては最近見かねなくなりしが、ローマはさすがに大道芸の本場らしくいまだにかく健在なるものの如し。


(サンタ・マリア聖堂ほか)

トヤヤヌスのフォロを過ぎれば左手にヴィットリオ・エマヌエーレ二世記念堂、その手前にサンタ・マリア聖堂、サンティ・ルカ聖堂など連なりてあり。聖堂群の手前はフォロの遺跡荒涼たる姿を晒してあり。ローマの都心にかかる光景を見るは実に不思議といふべし。この都市には古代と現代と共存しをるなり。


(ヴィットリオ・エマヌエーレ二世記念堂)

ヴィットリオ・エマヌエーレ二世記念堂はヴェネチア広場を俯瞰するやうに立ちたり。ローマの心臓にあたるところと言ふ。ローマに来れる者はまずこの記念堂のテラスに上りローマの街を俯瞰すべしと聴きたれば、余らもそのとほり記念堂のテラスに上りたり。この記念堂はヴィットリオ・エマヌエーレ二世によるイタリア統一の偉業を記念して建てられたる由なり。建物正面広場中軸上にヴィットリオ・エマヌエーレ二世の騎馬像立ちたり。


(バル、アイ・フィオーリ)

トラヤヌスのフォロに隣接する小広場に面して一のバルあり、その名をアイ・フィオーリと言ひ入口を蔦に絡まれてあり。内部を覗き見るになかなかの込みやうなり。込みをると言ふことは味美なるが証拠とて是非もなく中に入る。中は仄暗き空間にて客蝟集し思ひ思ひの食事をなす。余らもその一角に席を占めパスタとビールを注文す。トマトとチーズのスパゲッティを食ふにその太さうどんの如し。味は予想に違はず美なりき。食後便所に入るに便器の用を足すべき位置臍の高さのほどなり。パリの便所を思ひ出しぬ。





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