三信ビル所在地: 千代田区有楽町1建築年: 昭和4年(1929) 設 計: 松井貫太郎 施 工: 大林組 構 造: 鉄筋鉄骨コンクリート造地上 8階地下1階 特 徴: 3層構造のファサードを基調に 、随所にユニークな意匠を配した オフィス用ビルディング |
三信ビルは、三井信託の業務用ビルとして建てられました。日比谷の興行街の一角にあって、オフィスビルながら周囲と違和感無く調和してきたのは、建物のもつ独自の雰囲気によるものと思われます。 外観は、3層構造を取り入れ、シックな壁の色合いが落ち着いたイメージをかもし出しつつ、規則正しく並んだ窓の配置がリズミカルな運動感をもたらしています。また、内部空間はアールデコ調に飾り立てられ、立ち入る人を華やかな雰囲気で包み込んだといいます。 残念ながら、老朽化と耐震性の弱さを理由に解体されることが決まっています。(この写真を撮影した2006年の春には、建物は閉鎖されて内部に立ち入ることができませんでした) |
関東大震災後の大正末から昭和の始めにかけて 都心やその周辺に鉄筋鉄骨コンクリート造の洋風建築物が多数作られました それらは耐震耐火を目的に堅牢な建物を目指したのですが 同時に 西洋の様式や当時流行していたアールデコ調の装飾を取り入れ 芸術性を感じさせるものも多く作られました それまで 本格的な洋風建築物といえば 官庁や銀行などの建物に 限られていたのが 街角のオフィスにも広がり 東京の街の風貌が大きく 変化する起爆剤ともなったのでした しかし それらの建物も建築後 80年前後を経過し 老朽化に伴う改修の必要性に直面しています 三信ビルは所有主の三井不動産が解体の意向を表明していますが この建物の歴史的価値を尊重する建築家などが保存再生プランを提起するなど 保存を目指した運動が盛り上がっています |