人形町の街角
(34×25cm ワトソン 2004年9月)

東京の下町地域の中でもっともよく古来の下町らしさを伝えているのは日本橋人形町であろう。同じく戦災から焼け残ったといっても、神田向島と異なり、人形町は江戸の昔から栄えた商家町であったから、自ずから独特の風格のようなものをもち、それが今日に至るまで連続の相のもとに伝えられているのである。

周辺の無味乾燥なビル街を歩いて来て、この町に入ると突然雰囲気が変化したことを感じる。町のオーラのようなものが来る人を包み込むのである。町の中心軸は東西に走る甘酒横丁という通りで、この道を挟んで洒落たつくりの建物が並んでいる。決して豪勢というのではないが、一軒一軒が落ち着いた佇まいをみせ、それらが集まって趣味のよい街並を形成している。東京の色気というものをこれ程感じさせるところはない。

この絵は甘酒横丁の中程の地点から西の方角を眺めたもの。白壁の商家は御膳料理の店である。この横丁にはうまい店が多く、値段もそう高くはないそうだ。わたくしは東嶋という蕎麦屋に入ったが、中では和服姿の女性たちがそばをすすっていた。手ごろな値で味もまあまあであった。





                        
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