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  銀座四丁目交差点(28×35cm ヴェランアルシュ 2004年9月)

銀座を象徴する景観といえば四丁目の交差点に立っている服部の時計台だろう。昭和の初め頃から立っているので、文学作品や映画の中に数知れず登場した。荷風散人も尾張町辺を散策したついでにこの時計台を見上げるのが日課だったに違いない。現在は和光と名を変えているが、これは別の会社ではなく、服部の一部門が独立したものの由。

この建物の立っている場所には、明治の始めに新街路が整備されるのに併せ、朝野新聞社の社屋が建った。わたくしの敬愛する成島柳北が起こした新聞社である。実物大の復元模型が両国の江戸東京博物館に展示されているから、見た人も多いだろう。木造の洒落た洋館である。周辺には東京日日新聞なども建ち、この地は新時代の言論の牙城となったのだった。その名残か、朝日や読売も最近までこの周辺に立地していた。

建物自体そう凝ったつくりではないが、風雪のもたらした雰囲気がある。この周りに立っていた古い洋館は次々と壊されてしまったが、せめてこの時計台ばかりは末永く伝えていってもらいたいものだ。