湯立坂の銅御殿(26×36cm ワトソン 2006年2月)

地下鉄の茗荷谷駅から小石川植物園に向かう途中にゆるやかな下り坂がある。湯立坂という。名の由来は詳らかにしないが、この坂道の西側はかつて教育大のあったところである。現在は放送大学が入っているほか、公園として整備されている。傾斜地に展開しているので、小さいながら変化に富んだ公園である。

坂道をはさんだ反対側には屋敷らしい一角があって、木造の立派な門が立っている。民家らしく、普段は人を入れることもなかったろうから、内部がどうなっているか、知る人は少なかっただろう。これは、さる実業家の私邸で、中には明治の末から大正の初めにかけて立てられたという珍しい建物がある。和風の一風変わった建物で、屋根と壁面を銅で葺いていることから、銅御殿と呼ばれているものだ。

ある日、わたくしは敷地内に立ち入ることを許されて、この建物を身近に見る機会を得た。上の絵はその際に描いたものである。ごらんのように、緑青色にさびた銅の色がまぶしく見えた。主人の話では、近頃国の重文指定を受け、将来は国宝にもなるべき逸品ということらしい。ただ周辺の開発が進み、目下も北隣にマンション建築の計画が持ち上がったりして、貴重な文化財に悪い影響が出るのではないかと懸念している由である。




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