上野公園
(23×30ccm アルシュ 2002年4月)

桜の花が散って、木々の若葉が色づき始める頃、上野の山を訪れた。上野が山と称される所以は、王子の方から南へと舌状に延びてきた台地が下谷から池之端にかけて広がる低地に突き出し、遠目にはあたかも小高い山の如き形状に見えるからにほかならない。山というに恥じず、今なお豊かな緑に覆われ、訪れる人々にほっとした気分を感じさせてくれる。

公園内には、国立博物館やら美術館、演奏会場などが多く立地しており、いわば文化の香り高き土地柄ともいえるのだが、その割には、上野といえば庶民的なイメージで語られることが多い。高台でありながら、古くからの下町に接し、昔から花見などの物見遊山の場として、庶民に親しまれてきたからであろう。

この日の上野公園はうららかに晴れわたっていた。国立博物館前の池にある噴水が暖かな風を抱いてひらめき上がり、子どもたちがその飛沫をうけとめようとばかり、身を乗り出して見つめている。輝く春の光のなかで、このような光景をスケッチするのは、心楽しむことである。       



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