池之端の民家(25×34cm 2005年10月)

東京が巨大な田舎だといわれる所以は、欧米的な規範から見た都市の骨格が未成熟だということにあるが、それ以上に、都市計画上の用途規制が不徹底で、同一の地域に新旧大小様々な形態の建築物が雑然と混在し、景観に規則性の作り出す美しさが伴わない点があげられる。

道路は広く開放的に越したことはなく、そこに並ぶ建築物は共通の規範に従って建てられることにより、調和ある景観を作り出す必要がある。これが西洋流都市計画思想のテーマである。

二度の大災害を経てすっかり様変わりしてしまった東京の現在の姿からは想像できないが、かつての江戸の下町には木造ながら整然とした街区が形成されていたことは、小江戸とよばれる川越の旧市街等にその片鱗を認めることができる。だから今日の東京が陥っている一種のアナーキーともいうべき現象は、特殊時代的な現象なのかもしれない。だがこんな考えは脇において東京の街を散策していると、時折ビルの合間に木造の古い建物を見出してホッとさせられることがある。都心の一角に陰祠の小さな森を見だし、そこにオアシスを感じるのと同じ感覚である。




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