日暮里駅南口(34×25cm ヴェランアルシュ 2006年4月)

仕事上日暮里駅と縁の深いわたくしは、この駅を通りがかるたびに二つの眺めに眼をうばわれる。ひとつは谷中の台地にそびえるようにみえる赤い建物群であり、いまひとつは南口の駅舎に乗っかったとんがり帽子のような塔である。

赤い建物の方は、それ自体としては珍しいものではないかもしれないが、崖に寄りかかるように立っている姿が、見るものの眼には危なかしく、興味をそそってやまないのである。一方とんがり帽子の塔は、ホームから見上げる姿がかわいらしく、忙しげに歩く人々の心をなごませる。

ある日わたくしは、谷中の墓地を散策した帰りに、天王寺横手の坂を通って南口前の広場に下りたことがあった。そのとき、日ごろ眺めあげていたこの塔を眼前にみて、また別の趣を感じ、その場に立ち止まってスケッチしたのであった。塔は木造の小ぶりなもので、淡い緑色に塗られていたが、遊び心からレンガ色に塗ってみた。また駅舎の壁にかかった装飾にはごちゃごちゃとしたイメージが描かれていたが、人の目玉をもってそれにかえた。こうすることで、塔が本物の帽子のように見えるだろうと、茶目っ気を働かせたのである。




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