一葉旧居跡(34×25cm 2005年4月)  )

明治の才媛樋口一葉は、わずか24年という短い生涯を生きたに過ぎなかったが、たけくらべを始め香り高い作品を残した。一葉の創作した時代は明治20年代前半のことで、鴎外や漱石より以前のことだったから、文体はまだ古めかしいが、人を驚かすに足る斬新さをもっていた。

その一葉が晩年の一時期暮らしたという場所が本郷の一角にある。訪ねてみると、菊坂から更に下った谷間のような低地で、狭い路地の奥まった所にその場所はあった。古びた井戸を囲むように木造の家が並んでいる。当時もこんな様子だったのだろうか。一葉もこの井戸から水を汲んで炊事に励んだのかもしれない。

一葉は、当時の家を「我が家は細道ひとつ隔て上通りの商人どもが勝手と向かひあひ居たり」と書いている。絵の奥は崖のようになっており、それにそって細道が通じている。だから一葉はこの一角の細道沿いの家に住んでいたのだろう。






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