漢詩と中国文化 |
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蘇軾獄中の歌(2) |
蘇軾が獄中で死を覚悟し、弟の蘇轍に贈った詩二首のうちの二つ目である。自分が死んだ後に妻子が路頭に迷わぬよう、面倒を見て遣ってほしい、そんな気持ちが伝わってくる。 柏臺霜氣夜淒淒 柏臺の霜氣 夜淒淒たり 風動琅儻月向低 風は琅儻を動かし 月は低きに向ふ 夢繞雲山心似鹿 夢は雲山を繞り 心は鹿に似たり 魂驚湯火命如鶏 魂は湯火を驚かし 命は鶏の如し 眼中犀角真吾子 眼中の犀角 真に吾が子 身後牛衣愧老妻 身後の牛衣 老妻に愧づ 百歳神游定何處 百歳の神游 定めて何れの處ぞ 桐郷知葬浙江西 桐郷は知る 浙江の西に葬らるると 御史台(柏臺)には霜の気配が忍び寄り夜が寒々と更けわたる、風が緊縛の縄を吹き揺らし、月が西の彼方へと沈んでいく、夢はふるさとの山々を駆け巡り、まるで鹿になった気分だ、魂は死を恐れ、鶏のようにはかない命を嘆く まぶたの裏にみるわが子は賢い相、死後に妻子たちに待っているだろう極貧を恥じるばかり、自分の死後に魂はどこをさすらうのか、わが死体が浙江の西に葬られることだけは、みんな知っているようだが |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009-2011 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |