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清門別会の旗揚げ興行を見る




銀座の観世能楽堂で催された清門別会の旗揚げ公演をNHKが中継放送したのを見た。清門別会というのは、観世流の今の宗家である観世清和の主催する能興行組織ということらしい。先代宗家が正門別会というのを立ち上げて50回の公演を行ったのを引き継いだ形という。その第一回の公演が今年の六月に催された。それをNHKが収録したという。

当夜の番組は昭和に復曲された「鸚鵡小町」を中心としていたというが、この放送では、清和の演じる「松浦佐用姫」の舞囃子と、息子三郎太がシテをつとめる「道成寺」を中心に放送した。舞囃子はキリの部分を舞ったもので、清和は直面だが、それでも十分色気を感じさせた(上の写真)。



道成寺は、能の中でも特別の曲だ。なにしろ、どこの能楽堂でも、この曲を演じることを想定して作られている。天井には、この曲で使われる鐘を吊るすためのとっかかりが設置されているし、床の構造は足を踏んだときの音が響き渡るように工夫されている。曲自体にもいろいろ工夫があって、なかなか見どころの多い曲だ。もっとも、能に詳しくない人には退屈に思えるかもしれない。ほとんど劇的なところがないからだ。

三郎太は、父親譲りの声で、なかなか色気を感じさせる。このさき、観世流は無論日本の能楽を背負ってほしいものだ。



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