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深川三十三間堂、中川口:広重の名所江戸百景



(69景 深川三十三間堂)

深川三十三間堂は、富岡八幡宮の東側にある運河沿いに立っていた。京都の三十三間堂を真似たものが浅草にあったが、それが元禄十一年(1698)の火事で焼けたので、同十三年(1700)に深川に再建された。規模は京都の三十三間堂と同じで、運河を背にして南北方向に立ち、西側を向いていた。

これは三十三間堂の全容を上空からの視点で俯瞰した構図。背後は運河、手前の庭が射地である。その射地に竹矢来を据え、夕刻から翌日の夕刻まで、一昼夜かけて通し矢が行われた。

運河には材木が浮かんでいるが、この付近一帯には材木商が多く集まり、木場と呼ばれたものだ。なお、富岡八幡宮は、射地の先にある。


(70景 中川口)

中川口とは、中川と小名木川の交差点をいうようである。そこに水上関所が置かれていた。この絵は、その交差点を上空から俯瞰する形で描いたもので、左右方向が中川、上下方向が小名木川(上部は新川と呼ばれる)である。

小名木川は、江戸と行徳を結ぶ塩の流通路であり、中川は利根川を通じて銚子や奥州とつながっていた。この絵には、それぞれの川を行く船が描かれている。

左手前にあるのが水上関所。いまではその地に、中川船番所資料館が立っている。





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