旧東京医学校(28×35cm ヴェランアルシュ 2006年2月)

小石川植物園構内の西のはずれに、壁の上部を赤く塗られた洋館が建っている。旧東京医学校である。もともとは東大の赤門近くに建っていたが、昭和44年(1964)現在地に移築された。日本人が明治の初期に建てた洋館の一つで、歴史的な価値をもつことから、国の重要文化財に指定されている。

建物の原型は明治9年に作られた。設計したのは医学校営繕掛である。現在のものより一回り大きく、時計塔ももっと大きかったらしい。森鴎外は明治14年に東大医学部を卒業しているから、当然この校舎にも出入しただろう。明治44年(1911)赤門そばに移築された際、ほぼ現状のものになった。このとき赤門との調和を考え、壁の上部を赤く塗ったものと思われる。

小石川植物園は江戸の総合病院ともいうべき小石川療養所があったところだから、医学校の建物がこのような形で保存されているのは歴史の因縁ともいえる。だが、そうした因縁は脇へ置いて、この建物を虚心に眺めると、前面の池や和風の庭の緑と調和し、なかなか絵になるものを感じさせるのである。




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