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     新橋の飲屋街(34×25cm ヴェランアルシュ 2004年11月)

昭和40年代の中頃だったか、何かの用事で新橋駅で下り、烏森の改札口を出たときに目にした光景が強烈な印象となって今でも忘れられない。見渡す限り低い軒を連ねた飲屋街が延々と広がっていたのである。まだ若かった私はそれまで、そんなにも大規模な飲屋街を見たことがなかったので、世の中には男たちの快楽のためだけに、こんな風景も形成されうるのだと、妙な感心をしたものであった。

あれから長い年月が過ぎる間に新橋周辺も大きく変貌した。また大規模な繁華街という点では、新宿渋谷など新橋以上の規模を持つ街が外にも多く現れた。だがこの界隈は、いまだに昔ながらの雰囲気を引きずっていて、サラリーマンたちのノスタルジーをそそるものがある。

この絵はそのような飲屋街の一角を描いたもの。路地の彼方にはJRの高架線を隔てて汐留の超高層ビルが天を塞ぐように聳えている。飲屋街を描くのであるから夜景が相応しいのかもしれないが、夜こんな場所でスケッチブックを拡げるのは無粋の極みというものだろう。