生きる喜び 十三 |
エイコ 日が暮れかかってきたから先を急ごう こんな山の中で暗闇に包まれたら とんでもないところへ迷い込むかもしれない さあ山道を急いで下って早く里へ出よう 今日は楽しかったけれど欲張りすぎたね 一つの山で飽きたらず二つも上った そのうえ途中で長い休みをとって 草むらで抱き合ったりしているうち 時間は矢のように進んでしまった 早くしないと日が暮れてしまう こんな山の中で二人で遭難したら 世間から何をいわれるかわからない 君は疲れを知らないように ぼくの前を元気よく歩いていく リズミカルにお尻をゆらして しっかりとした足取りで ところがぼくときたら草臥れてしまって 君の後ろに取り残されがちになる そのたびに君は後ろを振り向いて ぼくのことを心配そうに見る これでは立場があべこべだね 君が疲れたらおんぶしてあげるなどと いっていたのはつい先程のこと これではぼくがおんぶされかねない エイコ ぼくは君におんぶされたいよ 君の背中にぶら下がりたいよ でもこんなことを思ってる時じゃない 早く山道を下って里へ出よう |
前の詩へ|HOME|目次|次の詩へ 作者:愛の詩人とその恋人
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